さて、今日これからどうしようか…。車をレッカーされるというハプニングはあったものの、車が壊れたわけじゃない、まだどこだって行けるぞ。地図を見る。このカディスっていう町が気になるな。ここは大航海時代、スペイン植民地経営の本部だったっていうし、興味あるな、うん、ここに行ってみよう。
「カディス」
車を走らせること1時間弱、カディスに到着。ここは面白い地形をしている。一見、島のようだが、よく地図をみてみると島ではなく、かなり危ういけど、一応陸続きなんだよね。車で町を流す。よく整備された道路、近代的なホテルやビルディング。ビーチに行ってみる。とても込んでいる。いかん、いかん、夏の湘南の込み具合とダブってきた。でもやっぱり海はきれいだなー。しばらく、たたずむ。いまいちピンとこない。よし決めた、次へ移動。バックミラー越しに混んだビーチで海水浴を楽しむ人々の群れが見えた。僕の前には荒々しいスペインの大地が再び現われ始めた。
「 或る白い村」
ここはカディス県に属するとある村。
アンダルシアの青い空、白い村。…なんて美しいんでしょう。
ガイドブックにも詳細はのっていない。とりあえず、宿をさがさなくては。地図に載っていたひとつの宿へ向かう。あれっ、閉まっているぞ、じゃ、他の宿をあたるか…、っていう感じで右も左もわからぬ状態でウロウロしていたまさにその時、本当に思いがけないことが起きた。「コンニチハ」という声が聞こえる。「コンニチハ?」えっ、誰?どうやら日本人女性だ。日本人ですか?はい僕は日本人です。よくこんなところに来ましたね、どうやって来たんですか?いや、今車で旅をしているものでして。会話は続く。今、宿を探しているんですが、なかなかいいところがなくて。ちょっと待ってください、一緒に探しに行きましょう。そして、やって来たのは陽気なコロンビア人男性と別の日本人女性。一泊20ユーロくらいで探しているんですが。OK, わかりました。すぐ宿まで案内してくれる。そこは看板も出ていない一軒の宿。建物の内部にはお決まりの美しいパティオ(中庭)もある。何やら部屋のオーナーと話しをしている。20ユーロでオーケーです。うわっ、話の進展早っ。その後、とてもありがたいお言葉が。「よければ、これから家で一緒に食事をしませんか?」
彼らの自宅に行くと、そこには少しだけヒッピーっぽいきれいなドイツ人女性とかわいい犬2匹がいた。彼女は今ヴァカンスでここに来ていて、明日マラガ空港からドイツへ帰るという。偶然にも、僕も明日、マラガ空港からパリに帰る予定だった。だったら、明日一緒に空港まで僕の車で行こう、ということになった。
夕食時には村にフラメンコギター留学できているY君、同じく語学とフラメンコの為に来ているKさん、イギリス人のR君なども加わり、ほんとうに楽しいひと時を過ごした。どうやら村には小さな語学学校があるらしい。今、夕方の4時半くらい。当然、外はガンガン強烈な太陽が照りつけている。