Cordoba(コルドバ)

「コルドバ」
ヨーローッパで唯一イスラムの支配があったスペイン。かつ、イスラム最後の楽園アルハンブラ宮殿のあるグラナダを後ろ髪惹かれる思いで後にした。次はコルドバへ向かうぞ。途中、ガソリンスタンドでアンダルシアの詳しい地図をゲットする。ふむふむ、この道をこう行って、この分岐点で左へ、そしてそのあとは、などど車の中で地図と格闘していると、フィーゴ似の悪そうな男が近づいてくる。やばい、集中ロックボタンに指を当て、速攻で逃げる体勢へ。あれ?なんかこの人笑顔だぞ。いや、でも罠かもしれない。恐る恐る窓をあける。どうしたの?どこに行きたいの?とスペイン語で言っている。コルドバに行きたいんですけど。ああ、そうしたらこの道をしばらく行くとセビーリャっていう看板がでているからそっち方面だよ。とたぶんそう言ってくれた。グ、グラシアス。なんだ、いい人だ。南は治安悪いよ、と聞いたことがあったけど、幸い危険な目には一度もあわなかった。それどころか、いろいろなスペイン人に助けてもらった。みなさんありがとう。
無事にコルドバへ到着。見所が集まる旧市街へ車で入る。なんか古そうな建物が見えてきた。あとで知ったけど、これが有名な「メスキータ」。この旧市街、面積的には本当に狭いんだけど、全盛期の西暦930年頃には当時の人口は100万人を越えたという。旧市街で宿を探そうと思い、どんどん車で入り込んでいく。地理も知らずに入り込んでいく。これが間違いだった。道はどんどん狭くなり、この先道が続くのか行き止まりなのかもわからない。もう身動きがとれない。途方に暮れる。とにかくバックして戻るしかない。ゆっくりゆっくり車を動かす。この狭い道でエンジンの音はとても響くのか、地元の人たちが家から出てきた。彼らのナビゲートを受け、なんとか脱出。旧市街にむやみに車で入ってはいけない、ということを学ぶ。
無難な場所へ車を避難して、街の観光案内所へ地図をもらいに行く。この街でもやはりフラメンコをやっているという。チケット売り場へ行く。感じのよい中年男性がいる。どこから着ましたか?パリですけど、僕は日本人です。なんか好印象。私は日本人が大好きです。一番いい席にしてあげましょう。うわー、ラッキー。こんなやり取りがあり、その夜のフラメンコは最前列のヴィップ席へ。フラメンコはグラナダよりもレベルアップ。会場は綺麗なパティオ(中庭)で行われた。わずか数メートル前で、ダンサーがすごいタップを踏む。迫力満点。フラメンコが終わった後、この席にしてくれた彼にお礼を言い、会場を後にする。「本当にありがとう、すごく楽しかった」「是非、また来てください」。

ホテルの安さもまたこの街の魅力。一泊20ユーロでバス付のいい部屋だった。最初25ユーロだったけど、値切ったら20ユーロになった。ありがとう、ホテルのおやじさん。ちぇ、わかったよ、20ユーロでいいよ、みたいな感じで値下げしてくれたね。この一見無愛想だけど、情に厚そうなスペイン人の気質が、無骨な外観を誇っているが実は中には美しいパティオがあるスペインの建物とダブってくる。
レストランの人もいい人だった。客は僕の他に数名だけだったので、暇そうに闘牛のテレビを見て何か言っている。本当にスペインらしいな、と感じさせられる風景。
あと忘れてならないのが、メスキータ。内部に入ると、冷房も効いていないのに、外の凄まじい暑さが嘘のようなヒンヤリ感に包まれ崇高な気分になる。幻想的な彫刻、おびただしい量の柱。しかし、大昔によくこんなものを作れたよね。すごい。
もう少しここに滞在したいけど、行きたい街は他にたくさんあるので、翌日セビージャに移動することを決意。グラシアス、コルドバ。