ここレユニオン島に引っ越してきたのは2024年7月のこと。
家族でこの地に住み始めてすでに半年以上が経つが、思いがけない発見がいくつもあった。その中でも特に驚いたのが、空手の普及率の高さだ。
現在娘は7歳で、以前住んでいたセント・マーチン島でも空手を習っていた。レユニオン島に移住してからも、すぐに近所の空手道場を見つけて通い始めた。この島では空手を習う子供たちが多く、しかも男女の比率がほぼ半々なのが特徴的だ。
空手はスポーツであると同時に、もともとは命を懸けた武道である。単なる勝ち負けではなく、精神と肉体の鍛錬が本質にある。特に子供にとっては集中力を養い、礼儀作法を学ぶ貴重な場になっている。道場の指導者たちも技術の向上だけでなく、精神的な成長にも重点を置いているように見える。
レユニオン島では年に数回、島内の空手大会が開催される。中でも12月に開かれる「Tokio Cup」は最大規模の大会で、隣国のモーリシャス島からも参加者が集まる。前回の大会では約230名が参加し、娘も初めて出場した。結果は見事三位入賞。親としてうれしい瞬間だった!
大会のオープニングセレモニーでは、なんと日本の国歌「君が代」が大々的に流れた。さらには、なぜか僕が極真空手の道場訓を読み上げる役を任された。理由は単純で、日本人だから、ということだったが、日本から遠く離れたこの孤島で、これほどまでに空手が普及していることに感動を覚えた。

Tokio Cup 2024の会場
空手を通じて、日本語と日本の精神がしっかりと根付いていることも実感した。技の名前や掛け声、基本的な空手用語はすべて日本語だ。そのため、道場の生徒や指導者の中には日本語を学びたいという人も少なくない。空手の技術を深く理解するには、日本語の理解が不可欠だからだ。
思いがけないこのようなレユニオン島の空手環境だが、実際僕自身は空手家ではないし、元々それほど興味があったわけでもなかった。しかし、娘の稽古や大会を通じて、空手の歴史や発祥の地である沖縄について調べるようになり、気づけば空手そのものに惹かれるようになった。単なる武術ではなく、文化や哲学が深く根付いたものだと知り、ますます興味が湧いてくる。
最近では、道場の仲間たちに日本語を教え始めた。空手を通じて日本文化に触れ、さらに日本語を学びたいと思ってくれる人がいるのは嬉しいことだから。彼らに言葉の意味や発音を教えながら、日本文化を伝えることに予想外の充実感と自分の役割を感じている。
今後は、こうした活動を通じて空手と日本文化、そしてレユニオン島とのつながりを深めていきたいな。日本から遠く離れたこの地で、空手という共通の文化が人々を結びつけている。その少し不思議な巡り合わせの中で、僕なりに貢献できる方法を模索していくつもりだ。
2025年3月8日