ハリケーンIRMA (イルマ) が島を直撃し九死に一生を得た時、子供が生まれた

まったく、本当に神秘的な体験をした。

2017年9月5日の夜から翌日朝方にかけ、セントマーチン島を観測史上最強のハリケーンが直撃した。この事について家族以外に詳しく話した事はまだほとんどないが少しだけここに書いてみる。その時僕は島内の自宅にいて、あと一歩で死ぬところだった。本当にあと紙一重で。

強いハリケーンが直撃すると、ものすごい風で屋根が吹き飛んだり、家自体が倒壊する訳だけれど、ウチの場合は水害だった。ウチは1階で海から300m弱くらいの場所にあった。家の入り口側に設置してあった鉄製シャッターとガラス、壁が一気に壊れ大量の海水が流れ込んで来た。みるみる水位が上がりすぐに首まで達した。家の中の家具はすべて水没し、外へ流れ出て行き、コンクリート以外の壁はあっけなく崩れ、建材が凶器となり波と一緒に襲いかかってくる。部屋に流れ込んだ海水の最大水位は約2m。外は丸見えになり時速300〜400kmの暴風が吹いている。

これは死ぬ、即座にそう思った。

側ではレミー (ネコ) が溺れかけ、今まで聞いたこともない恐怖の雄叫びを上げている。僕は片手でレミーをつかみ自分の首の上に乗せ部屋の中を泳いだ。もう逃げ場所はないが1番生存率が高そうな隅っこの方まで行った。すると何か固定したものの上に立つ事ができた。両手は天井に固定してバランスをとった。レミーは相変わらず僕の首か頭にしがみついている。もうそれ以上は何もできなかった。心を落ち着かせ、そのまま様子を見た。水が引いてくる。もしかしたら助かるかもしれない、と少しの希望を感じた。

水が引いてきてわかったが、僕の立っていたのはトイレのタンクだった。最終的に部屋の中で最後まで残ったのはトイレとこのトイレタンクだけだった。だから僕は身を流されずに息を確保し生き残る事ができた。

妻は島内の病院にいた。出産のために。

本当に何というタイミングだ。
無事に女の子が生まれた。

しかし、僕がそれを知ったのは出産の翌々日だった。ハリケーン直撃直後の島内はまるで爆撃を受けた戦場のような状態で、交通機関が麻痺し動く事ができず電話も通じない。妻達は生きているのか? そうだとしても他の島に緊急移送されたかもしれない。
ウチの車は水に流され全損したので、ヒッチハイクをして何とか病院へたどり着き彼女達の無事を確認した時は、心底安堵の感情が湧いた。

……と簡単に書くとこんな事が起きたのだけれど、他にもいくつかの信じられないような出来事が重なり、本当に神がかり的だった。当時、家のものは全て失い何もなかった。でもこの出来事は忘れないうちに詳細を記録したかったから近所の人にノートとボールペンを分けてもらい、何かに取り憑かれたように夢中で書き残してある。
それ以来そのメモはそのままにしてあるが、来年リライトして本にする予定だ。

2018年11月5日追記:本ができました!
「超巨大ハリケーン直撃の島で知ってしまった事」
─九死に一生を得た実話─(Amazon Kindle版)

それで、前置きが非常に長くなったけれど──このブログの趣旨でもある「本当にやりたい事」というのは、子供を授かり子育てをする、という事であり……

ただいま絶賛子育て中です!

毎日子供の成長の様子を見られて楽しく幸せに思います。
(本当に生き残れて良かった……)